電子書籍2冊目「助成金 社労士が経験した”リアル“な不支給事例7+11」 書籍の内容”ほぼ”全文公開⑦回目

2021年7月18日

電子書籍2冊目「助成金 社労士が経験した”リアル“な不支給事例7+11」 内容公開! 


第4章 不支給にはならなかったが、労働局から確認が入ったケース(ライトな案件)

本章からは、不支給にはならなかった(結果的に支給された)ものの、労働局から確認の問い合わせがあった事例(ライトな案件、ヘビーな案件)についてお話します。支給申請をして、何も問い合わせがないケースは実は稀で、半数くらいは労働局から問い合わせが入ります。ですので、本章の内容はより身近で、読んでいただく価値が高いかもしれません。


・ちょっとした不備①(電話ヒアリングで済む)【 実例 】
①提出日の一部が空欄
②給与支給日が土日祝日
③生産性要件の内容確認
④その他、ちょっとした間違い

おそらく社労士が見たら「分かる~!」の連続だと思います。

①は書いている通りですね。3枚のうち2枚には「提出日 2021年4月5日」と書いているのに、残り1枚は「提出日 2021年  月  日」となっているとか。これくらいなら電話ヒアリングで終わります。さすがに3枚全部が空欄だと、出し直しを命じられるかもしれませんが。

②について。助成金では、「何かしらの給与支給」が要件になっているものが多くあります。たとえば、「2021年4月25日支給分から、基本給を1万円アップさせなさい」みたいな。で、「支給日:2021年4月25日」みたいに書いて出すわけです。

ところが、その4月25日が土日か祝日だった場合、金融機関が営業していないので、労働局から「その日は銀行が空いていないので、23日か24日に支給されていませんか?」という電話がきます。これは、事実に基づいて答えるだけです。この書き間違えも、それなりに多いですが、小さな不備と言えます。

③は、ざっくり言うと「4年前の営業利益等、直近の営業利益等を比較して、一定の割合アップしている」事の証明になりますが、決算書や確定申告書を添付するわけです。その時に、「この法定福利費は、役員分は含まれていますか?」「これは税込みですか?税抜きですか?」と聞かれます。だいたい電話説明でOKです。

④その他、ちょっとした間違いは、挙げればキリがありませんが、例えば、

・対象労働者の雇用保険被保険者番号の記載ミス、記載漏れ
・事業所の労働保険番号、雇用保険番号の記載ミス、記載漏れ

とにかく、記載漏れが一番多いと思います。社労士が申請前に気付く事も多々ありますが、重要でない部分についてはどうしても確認漏れが発生します。まあ、そこのところはご理解ください。重要部分は決して見逃しませんので。


・ちょっとした不備②(書類の再提出が必要)【 実例 】
①対象労働者の署名押印が抜けている
②申請書類の「事業主印」が間違っている
③支給要件確認申立書の「はい」と「いいえ」が間違っている
④一部の添付書類(出勤簿、給与明細、雇用契約書)が抜けている

ざっと挙げるとこんなところでしょうか。②の事業主印は、助成金では常に「ハローワークに登録をした代表者印」です。法人なら、個人の認印は当然アウトです。逆に、個人事業主の場合は100均の印鑑をハローワークに登録しているケースがあります。制度上、問題ないので。とにかく登録印は事業主によって全然違うので、常に確認が必要です。

たまに「ハローワークに登録した印鑑がどれか分からない」という質問をいただきます。『知らんがな』と著者が感じているかどうかは別として、確認する方法はいくつかあります。ハローワークに複数の印鑑を持参して確認するのが確実ですが、窓口に行くのが面倒なら、「労働保険 成立届」の会社控えに押された印鑑がそれだと思います。どっちもイヤなら、ダメ元で押印して提出するしかありません(苦笑)。

③は、ちょっと笑えます。「支給要件確認申立書」という書類は、ほぼ全ての助成金に必要で、10個くらいの質問が記載されています。たとえば、「暴力団関係者と関わりはありませんか?」という質問から、「倒産していませんか?」というダイナミックな質問まで。「倒産していませんか?」に対して、「いいえ」に〇をつけると、そりゃあ労働局から電話がかかってきます(笑)「倒産してるんですか!?」って(笑)。

④は、とても多いです。助成金の申請は、1回につき20枚~50枚くらいの書類が必要なので、1枚、2枚の漏れは珍しくありません。

ちなみに、

・署名や押印が必要な書類は、郵送してください
・それ以外(出勤簿や給与明細)はFAXでもOKです

と言われます。当社はFAXがありませんので、いつも郵送しています。なお、労働局は今のところメール対応をする気がありません。面倒ですが、ルールなので仕方ありません。著者は毎回「そろそろFAXやめませんか?」と審査官に懇願しています(笑)


・よくある不備 未払いの残業代があった【 実例 】
これはよくある事例です。助成金を申請する際は、基本的に雇用契約書(もしくは労働条件通知書)・タイムカード(や出勤簿)・賃金台帳(や給与明細)の添付を求められます。これらの書類は、基本的には「対象期間の在籍実態」を把握するために提出しますが、同時に「残業代のチェック」もされる場合があります。

残業代の計算間違え、まあまあ多いですね。助成金とは関係なく、給与計算は奥が深いですから、自社で計算している中小企業はだいたい間違えています。

助成金の審査上は、「週40時間ルール」とかまでは労働局も見ていないはずですが、たとえば、

・出勤簿ではけっこう残業がありそうなのに、給与明細の残業時間がゼロ(もちろん残業手当もゼロ)

・月の残業時間がバラバラなのに、毎月の残業手当が10,000円だけの固定(しかも、固定残業手当を採用していない)

という明らかなケースだと、確実に労働局は気づきます。そして、自社申請なら事業主に、申請代行なら社労士に電話がかかってきます、「この計算って、どうなってますか?」と。

問い合わせがあった時点で、「残業手当の未払いが発生している」と捉えて良いわけですが、逆に言うと、「未払い分を今から支払えば、何とかなる」という事です。当社の申請でも、未払い残業手当を支払って、支給決定しなかったケースはありません

給与計算って簡単ではないので、よほど悪意に満ちたケースでなければ、未払いについては労働局も寛大です。100%保証はできませんが、残業手当の未払いがあったとしてもなんとかなります。

もちろん、「残業代なんてウチは払わないよ!」なんて突っぱねたら、不支給になります。おそらく「従業員が勝手に残業をやった(会社として残業を認めていない)」事を証明しなければなりませんが、それ、証明できますか?長くなるので書きませんが、まあ大変(というか不可能に近い)ですよ。素直に「すみません。次回の給与支給時に、対象期間の未払い残業手当も支払います」と答えるのが賢明

対象期間分だけでいいとは言え、対象期間が1年に及ぶもの(キャリアアップ助成金(正社員化コース)とか)もあるので、「普段から全く残業手当を支払っていない」と、残業代は数万円にも数十万円にもなります。

そういう会社こそ社労士と顧問契約をして、「そもそもの残業時間を減らす工夫」などをしたほうが得なんだけどなー・・・・・・と、激しく思います。


・その他 不支給にはならなかったが、労働局から確認が入ったケース(ライトな案件)  

「その他」については端的に書きます。

●訓練日誌の書き方が超テキトウ(訓練系助成金) → 従業員が書き直して支給決定

●雇用契約書の添付漏れ → 追加で提出して支給決定

●残業のカウントや、給与計算方法が間違っている → 正しく計算して支給決定


ライトな案件は多すぎて書ききれないですが、まあ、こんなところでしょう。ちなみに当たり前ですが、不備を指摘されて、対応しなければ不支給で終わります。
 

(次回に続く)

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いずみ社労士・助成金事務所
代表/社会保険労務士/行政書士 泉正道
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