ホルムズ海峡ショックが教えてくれた、外部リスクに強い姫路の建設会社の作り方



「中東の話が、まさかここまで影響するとは思わなかった」

ホルムズ海峡の封鎖が始まってから数ヶ月、建設業の現場でそんな声を聞く機会が増えました。

今回の米イラン停戦合意で一つの区切りはつきましたが、それで終わりではありません。世界はいつでも、予測不能な出来事を連れてきます。

では、外部リスクが来るたびに「またか」と翻弄される会社と、「なんとか乗り越えられた」という会社の差はどこにあるのでしょうか。

今回のホルムズショックをきっかけに、その差を整理してみます。姫路の中小建設会社が、外部リスクに強い体制を作るためのヒントとして読んでいただければ幸いです。


目次

  1. ホルムズショックが浮き彫りにした「会社の脆弱性」
  2. 外部リスクに強い会社の3つの共通点
  3. 「人が定着している」がなぜリスク対策になるのか
  4. 今すぐできる3つの具体的な行動
  5. よくある質問
  6. まとめ

ホルムズショックが浮き彫りにした「会社の脆弱性」

ホルムズ海峡の封鎖は、日本の建設業に連鎖的なダメージを与えました。シンナー50〜75%値上がり、断熱材40%値上がり、塩ビ管・樹脂建材の品不足。アルミ価格も急騰し、塗装工程がストップした現場が続出しました。

このとき、同じように資材が入らない状況でも、明暗が分かれました。

  • 仕入れ先から「うちは泉さんのところに優先で回します」と連絡が来た会社
  • 「どこにかけても在庫なし」と手詰まりになった会社

この差は、技術力でも規模でもありません。日頃の関係性と、社内の体力の差です。

外部リスクは「起きるかどうか」ではなく、「次はいつ、どんな形で来るか」の問題です。リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、ウクライナ侵攻、そして今回のホルムズ封鎖——波は必ずまた来ます。


外部リスクに強い会社の3つの共通点

今回の混乱をある程度乗り越えられている会社を見ていると、共通する特徴が3つあります。

① 取引先との「信頼の積み立て」がある

資材不足のときに優先してもらえるのは、長年の付き合いがある会社です。単価だけで動いてきた会社は、いざというときに後回しにされます。安定した仕入れルートと人間関係の積み重ねは、有事のときに威力を発揮します。

② 社員が辞めない仕組みがある

人手不足のいま、現場スタッフが定着している会社は採用コストがかかりません。また、経験のある社員がいることで、工程の調整・代替対応が柔軟にできます。逆に、常に人が入れ替わっている会社は、外部ショックがあると現場が一気に回らなくなります。

③ 「選べる経営」ができている

採算が取れない案件を断れる会社は強い。財務に余裕があり、特定分野に強みがある会社は、厳しい時期でも受注を選ぶことができます。「なんでも受ける」体制は平時は稼げても、有事には脆い。


「人が定着している」がなぜリスク対策になるのか

ここを少し掘り下げます。「定着=コスト削減」というイメージがありますが、それだけではありません。

有事のとき、会社を支えるのは「長くいる社員の判断力と現場知識」です。資材が急に変わったとき、代替材を提案できるのも、顧客に状況を正直に説明できるのも、現場を知り尽くした社員がいるからこそです。

また、人が定着している会社は、採用に追われないぶん、経営者が「今やるべきこと」に集中できます。人が辞めるたびに採用と育成に追われている会社は、危機対応の余力がなくなります。

「人が定着する職場を作ること」は、今すぐできる最も効果的なリスク対策の一つです。


今すぐできる3つの具体的な行動

① 就業規則と労働条件通知書の見直し

「うちにはちゃんとした就業規則がない」「雇用契約書が昔のまま」という会社は、まずここから。労使トラブルは、外部環境が悪化したときに一気に表面化します。有事の前に整えておくことが重要です。

② 休暇・評価の仕組みを「見える化」する

「なぜ彼は昇給して自分は上がらないのか」「有給を取りたくても取りにくい」——こうした不満が積み重なって社員は辞めます。評価基準の明文化と、休暇取得の実績公開だけでも、社員の安心感は大きく変わります。

③ 経営者自身が「話しやすい人」になる

制度よりも、実は「経営者との距離感」が定着に影響していることが多い。「何かあったら言ってくれ」という言葉を、本当に聞く姿勢で伝えているか。定期的な1on1や、現場での声かけという小さな積み重ねが、危機のときの「踏ん張る力」になります。


よくある質問

Q. 就業規則の整備にはどのくらいの時間とコストがかかりますか?

A. 会社の規模と現状によりますが、一般的には2〜3ヶ月程度での整備が可能です。コストは専門家に依頼する場合でも、一度整備してしまえば毎年かかるものではありません。トラブルが起きてから対応するコストと比べれば、はるかに小さな投資です。

Q. 小さな建設会社でも「人が定着する仕組み」は作れますか?

A. むしろ小さい会社のほうがやりやすいケースが多いです。経営者が全員の顔を知っている、決断が早い、変化をすぐ実行できる——これは大手にはない強みです。「制度の立派さ」より「経営者の本気度」のほうが、定着には効きます。


まとめ

ホルムズ海峡ショックは、「外部環境は必ず変動する」という当たり前の事実を、改めて突きつけてくれました。

大切なのは、次の波が来る前に会社の体力を整えておくことです。取引先との信頼、社員の定着、採算を選べる体制——どれも、今日から積み上げられることです。

「備える」会社と「備えない」会社の差は、有事の瞬間ではなく、平時の積み重ねで決まります。

この記事を読んで、「うちはどうすればいい?」と思ったら、それが相談のサインです。
姫路の中小企業だからこそできる、現実的な解決策を一緒に考えましょう。