自転車青切符が始まった。姫路の営業・配達職を持つ会社、就業規則は大丈夫ですか



今年4月から、自転車にも「青切符」制度が始まりました。
警察庁の発表によると、初月の検挙件数は2147件。制度開始からわずか1ヶ月で、これだけの件数が出ています。

「自転車の話でしょ、うちは車だから関係ない」と思った姫路の経営者の方。ちょっと待ってください。

これは営業職・配達職を持つ会社にとって、労務管理の問題に直結する話です。
姫路市内でも、自転車で得意先を回る営業職、医薬品や食品を配達するスタッフ、歯科クリニックの訪問スタッフなど、業務で自転車を使う会社は少なくありません。


目次

  1. 青切符とは何か——制度の概要を確認する
  2. 会社が「使用者責任」を問われる具体的なリスク
  3. 会社として今すぐやるべき3つのこと
  4. 「知らなかった」では済まない理由
  5. よくある質問
  6. まとめ

青切符とは何か——制度の概要を確認する

2026年4月1日から、自転車にも交通反則通告制度が適用されました。
これまで自転車の交通違反は、ほとんどが「指導・警告」で終わっていました。

それが今後は、信号無視や一時不停止など113項目の違反に対して青切符が切られ、3,000円〜12,000円程度の反則金を支払う義務が生じます。

  • 対象:16歳以上の全員
  • アルバイト・パートも含む全従業員が対象
  • 業務中・通勤中どちらも適用
  • 違反を繰り返すと刑事罰(5万円以下の罰金)に移行

「自分には関係ない」と思っていた従業員でも、通勤や業務で少し自転車を使っていれば対象です。
初月2147件という数字は、制度が本気で運用されていることを示しています。


会社が「使用者責任」を問われる具体的なリスク

なぜこれが会社の問題になるのか。

従業員が通勤中や業務中に自転車で他人に怪我を負わせた場合、企業は民法715条の「使用者責任」を問われる可能性があります。
過去には、自転車事故の監督義務者に対して約9,500万円の賠償が命じられた判例もあります。

そして今回の青切符制度は、「自転車の違反=明確な法令違反の記録」として残ります。
これが何を意味するか——事故が起きたときに、「この従業員は過去に違反歴がある。会社はそれを把握していたか、指導していたか」という問いが生まれるのです。

つまり、青切符制度は「個人の問題」ではなく、会社の管理責任が問われる新たな基準になり得ます。
姫路市内でも、細い路地での接触事故や交差点での出会い頭事故は珍しくありません。


会社として今すぐやるべき3つのこと

① 就業規則・車両管理規定の見直し

自転車通勤・業務使用に関するルールが就業規則に明記されていますか?
以下を就業規則または車両管理規定に追加することを検討してください。

  • 業務・通勤中の自転車使用に関するルール(安全走行義務)
  • 青切符(反則金)を受けた際の会社への報告義務
  • 重大な交通違反や事故を隠蔽した場合の懲戒規定

「そんなこと就業規則に書かなくていいでしょ」と思うかもしれませんが、書いていない規則は存在しないのと同じです。
違反を隠蔽させない風土と仕組みを、今のうちに整えてください。

② 社員への周知・安全教育

「青切符が始まった」という情報を、社員に伝えていますか?
知らずに違反して青切符を切られた社員が、「会社には関係ない」と隠す——そのパターンが起きやすくなっています。

制度開始を機に、朝礼・社内通知・Chatworkなどで一言伝えるだけで違います。
特に以下の従業員には優先的に周知してください。

  • 自転車通勤をしている全員
  • 業務で自転車を使うスタッフ(営業・配達・訪問など)
  • アルバイト・パートを含む短時間勤務者

特にアルバイト・パートへの周知が漏れるケースが多いので注意してください。

③ 自転車保険の加入状況の確認

業務で自転車を使用している社員が、自転車保険に加入しているか確認してください。
兵庫県は自転車保険の加入が義務化されており、業務使用させている場合は会社側の確認・手配義務が生じます。

自転車保険に加入していない状態で事故が起きれば、損害賠償はすべて会社と個人の自己負担になります。「保険に入っているだろう」という思い込みを確認に変えるだけで、大きなリスクを回避できます。


「知らなかった」では済まない理由

ルールが変わった。その変化に会社がどれだけ素早く対応できるかが、リスク回避の分かれ目です。

労災・事故対応で「会社は知らなかった」という言い訳が通用しないのは、安全配慮義務があるからです。
使用者は、労働者が安全に働ける環境を整える義務を負っています。
自転車の新制度を把握せず、社員への教育も保険確認もしていなかった——これは「知らなかった」ではなく「怠った」と見なされます。

法令の変化に会社として対応する姿勢を示すことが、社員への信頼にもつながります。


よくある質問

Q. 通勤中の自転車事故は、通勤災害扱いになりますか?会社の責任はどこまでですか?

A. 通勤中の事故は原則として「通勤災害」として労災保険の対象になります。ただし、会社が自転車通勤を許可・奨励していた場合や、業務との関連が認められる場合は「使用者責任」が問われる可能性もあります。通勤ルートの届け出管理や自転車保険の確認を行っておくことで、会社の安全配慮義務を果たしていることを示せます。

Q. 就業規則に自転車関連の規定がありません。今から追加できますか?

A. できます。就業規則の変更には労働者代表の意見聴取と労働基準監督署への届け出が必要ですが、手続きは難しくありません。既存の「車両管理規定」や「服務規律」の条項に追記する形で対応できるケースも多いです。当社でも就業規則の見直しサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。


まとめ

自転車青切符制度は、4月から始まった現実の制度です。初月2147件という数字が示す通り、「関係ない」では済まない時代になりました。

姫路の中小企業で営業職・配達職・訪問職を持つ会社は、今すぐ次の3点を確認してください。

  • 就業規則に自転車使用・報告義務が明記されているか
  • 社員への周知が済んでいるか
  • 自転車保険に加入しているか

就業規則という「仕組み」を整えるとともに、「なぜこのルールが必要なのか」を社員に伝える対話も忘れずに。仕組みと対話、両輪で回してこそ、社員も会社も守られます。

「これって違法?」「トラブルになる前に相談したい」——そのタイミングが一番大事です。
姫路の中小企業の現場を知る社労士が、一緒に整理します。


筆者プロフィール

泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2026年5月現在、延べ100社以上の中小企業を支援。採用・定着・労務に関する相談は累計3,000件超(日々更新中)。

徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化(内製化)」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。

姫路播州採用定着研究所
C&P社労士法人 公式サイト
Facebook