姫路の社労士が「仕事って悪くない」と言い続ける理由——102歳の佐藤愛子さんが遺したもの



作家の佐藤愛子さんが、102歳で亡くなりました。
晩年まで筆を置かず、100歳を超えても著作を出し続けた方です。

訃報を聞いて、私はしばらく考え込んでしまいました。
102歳まで書き続けた。なぜそれができたのか。

私がよく口にする言葉があります。「仕事って悪くない」

社労士として、採用や定着の支援をしている中で、退職する社員の声を聞くことがあります。
「この仕事、もう嫌になった」「働くことが辛い」「何のために働いているかわからなくなった」
こういう言葉を聞くたびに、私は心の中でこう思っています。
「仕事って、本来悪くないはずなんだけどな」

佐藤愛子さんが102歳まで書き続けた姿は、その「仕事って悪くない」という感覚の、最も純粋な形だと思いました。


目次

  1. 佐藤愛子さんが教えてくれたこと
  2. 「仕事が嫌」になるのはなぜか
  3. 承認と対話——定着に一番効く処方箋
  4. 「仕事って悪くない」と思える環境をつくる具体的な方法
  5. 定着がもたらすビジネスインパクト
  6. よくある質問
  7. まとめ

佐藤愛子さんが教えてくれたこと

佐藤愛子さんは、波乱万丈の人生を歩んだ方です。離婚、借金問題、家族の問題。それでも書き続けた。

なぜか、と考えたとき、私が思ったのはこういうことです。
「書くことが、彼女にとって生きることだったから」

仕事と人生が分離していない。働くことが、自分の存在を確かめることになっている。
そういう仕事との関わり方ができている人は、強いです。
年齢を重ねても、困難があっても、仕事から離れない。

これは特別な才能や使命感がある人だけの話ではないと、私は思っています。
「仕事って悪くない」と感じられる環境が整っていれば、多くの人がそういう状態に近づけます。
そしてその環境をつくるのは、経営者の仕事です。


「仕事が嫌」になるのはなぜか

私が現場でよく見るのは、「仕事自体が嫌いなわけではないのに、職場が嫌で辞める」というパターンです。

  • 上司との関係が悪い
  • 評価されていないと感じる
  • 「ありがとう」が一言もない
  • 自分が何のために貢献しているかわからない

こういう状況が続くと、本来は好きだった仕事も嫌いになっていきます。
仕事の中身の問題ではなく、人間関係や評価・承認の問題です。

退職理由のアンケートでは「一身上の都合」と書かれていても、本音を聞けば「認められていないと感じた」「居場所がなかった」という声が圧倒的に多い。姫路の中小企業でも同じです。


承認と対話——定着に一番効く処方箋

「仕事って悪くない」と思ってもらうために、経営者ができることは何でしょうか。
難しい制度は必要ありません。

  • まず「ありがとう」を言う
  • その人の仕事が会社にどう貢献しているかを伝える
  • 「あなたがいてよかった」という言葉を、惜しまない

これだけで、職場の空気は変わります。
評価制度を複雑に作るよりも、日常の対話の中で「承認」を届けることの方が、よっぽど定着に効きます。

承認には2種類あります。
結果承認(成果を認める)と存在承認(いてくれることを認める)です。

結果承認だけでは、成果が出ていないときに社員は「自分は必要とされていない」と感じます。
存在承認——「今日も来てくれてありがとう」「あなたがいると場が和む」——は、成果に関係なく届けられます。
この両方を意識的に使うことで、社員は「この職場に居続けたい」と感じるようになります。


「仕事って悪くない」と思える環境をつくる具体的な方法

① 毎朝の一言——「今日もよろしく」の習慣

難しいことは何もありません。経営者が毎朝、社員一人ひとりに声をかける。それだけです。
「今日はどんな予定?」「昨日の件、ありがとう」——短い言葉でも、「見てもらえている」という感覚が生まれます。
これが積み重なって、「この職場に来るのが嫌じゃない」という土台になります。

② 月1回の1on1——15分でいい

月に1回、15分でも1対1で話す時間を設ける。
「最近どう?」「何か困っていることある?」それだけで十分です。
重要なのは、「評価する場」ではなく「聞く場」として設計すること。
社員が「話していい場所がある」と感じると、問題が小さいうちに浮かび上がってきます。

③ 貢献を「見える化」する——感謝の言葉を記録に残す

口頭の「ありがとう」に加えて、Chatworkやチームのグループで「〇〇さんが対応してくれたおかげで助かりました」と書くことで、承認が組織全体に広がります。
経営者一人からの承認だけでなく、チームからの承認が生まれると、職場全体の空気が変わります。


定着がもたらすビジネスインパクト

「ありがとう」を言うだけで定着が変わるなら、なぜみんなやらないのか。
「そんな甘い話があるか」と思う経営者もいるかもしれません。

ですが、数字で考えてみてください。
従業員1人が辞めたとき、採用・教育にかかるコストはその人の年収の0.5〜1倍とも言われます。
年収300万円の社員が辞めれば、150万〜300万円のコストが発生します。

これを防ぐために必要なのは、複雑な制度ではなく、日常の承認と対話の積み重ねです。
姫路の中小企業にとって、定着率を1%改善することは、採用コストの削減と生産性向上の両方に直結します。

「仕事って悪くない」と思える職場をつくることは、社員への優しさであると同時に、経営の合理的な判断でもあります。


よくある質問

Q. 「ありがとう」を言っても、それだけでは定着しないのでは?

A. 承認だけですべてが解決するわけではありません。給与・休日・働き方の整備も当然必要です。ただ、「辞めたい」という気持ちの最後の引き金は、多くの場合「認められていない」という感覚です。制度を整えながら承認も届けることで、定着効果は大きく変わります。どちらか一方では不十分で、両輪で回すことが重要です。

Q. 忙しくて1on1の時間が取れません。どうすれば?

A. まず15分から始めてください。月1回、15分。手帳に先に予定を入れてしまうことがコツです。「忙しくてできない」と言う経営者の職場ほど、退職が多いというのが私の実感です。社員が辞めた後の採用・教育コストを考えると、15分の投資は圧倒的にコストパフォーマンスが良い。


まとめ

102歳の佐藤愛子さんが生涯書き続けた姿を見て、私は改めて思いました。
「働くことは、生きることの一部だ」

だから私は、「仕事って悪くない」と思える人を増やしたい。
そのためには、職場を理不尽な場所にしないこと。社員が「ここで働いてよかった」と思える環境をつくること。
それが私の仕事の根っこにあります。

あなたの姫路の職場は、社員が「仕事って悪くない」と思える場所になっていますか?
仕組みを整えることも大事。でも日々の対話と承認が、その土台をつくります。

「また辞めた」「応募が来ない」——その悩み、仕組みで解決できます。
姫路の中小企業の採用定着を、一緒に仕組み化しましょう。


筆者プロフィール

泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2026年5月現在、延べ100社以上の中小企業を支援。採用・定着・労務に関する相談は累計3,000件超(日々更新中)。

徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化(内製化)」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。

姫路播州採用定着研究所
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