電子書籍2冊目「助成金 社労士が経験した”リアル“な不支給事例7+11」 内容公開!
第3章 著者判断で支給申請をストップしたケース
この章では、支給申請直前に「これはダメだ・・・」と、著者判断で支給申請をストップした事例についてお話しします。支給申請には手間や準備がかかりますから、100%アウトと思ったら、申請しないのが賢明。時間と郵送代の無駄です。
社労士は基本的に「なんとか支給申請できないか?」と考える生き物ですので、手の施しようがなかったという事です(苦笑)。
ぜひ、「そんな事あるわけねーだろ!」とツッコミながら読んでください(笑)そんな事が実際にあるんです。
・支給申請ストップ事例 給与を支払っていなかった
これは著者にとって過去最悪の事例です。申請していたら不正受給となっていたと思いますが、バレずに受給できていたかもしれませんね。。。まあ分からないですが、胸くそ悪い事例です。
やったのは「パートに対する訓練系の助成金」で、訓練期間はたしか6ヶ月。顧問先ではありませんでしたが、訓練期間中に「どうですか?訓練は順調ですか?訓練日誌(日報)は書かせていますか?」と、マメに連絡をとっていました。
訓練系の助成金では、この「訓練日誌」がキモとなります。訓練が計画通り実施できているか?日誌はきちんと書いているか?かなり細かくチェックされます。なので、社労士としてはそこを重視します。
途中でタイムカード、給与明細も送ってもらいましたが、特に問題無さそう。さて、いよいよ来月支給申請できるというところで、衝撃の事実が判明しました。なんと、
「従業員の口座に給与をいったん振り込んで、そのあと、現金で回収していた」のです。
社長から、従業員に10万円振り込みました。そしてバレないように、従業員が社長に10万円手渡しましたと。表向きは給与を支払っているようになっていますが、実は1円も払っていなかったと。
それを知って、著者が『バカなのかコイツは?』と激しく思ったかどうかは置いておきまして。一応、なんでそんな事をしたのか理由を聞きました。すると、彼女はこう言いました。
「●●ちゃん(従業員)はワタシ(経営者)のファンだから、無償で働いてくれたんです♡」
・・・・・おいおい。ファンか何か知らんけど、それで助成金をもらったら詐欺なんだよ。
とっても悪意に満ちてますよね。最初から支払っていないならまだしも、いったん銀行振り込みをして、それを現金手渡しで回収するという。完全な確信犯です。しかも、たまたま別の話をしていて著者が把握しただけで、社労士にも隠そうとしていたわけです。
明らかに故意だったので、「バレないと思っているかもしれませんが、知ってしまったので社労士としてこれ以上の手続きは出来ません」と一蹴して関与は終了。
結局、自社申請もしていないはずです。「自社申請してバレたら、おそらく刑事罰を受けますよ」と伝えましたので。いや~、思い出すだけで怒りが込み上げてくる事例です。企業名さらしてやろうかなw
ちなみに。申請代行を断った翌日、謎のコンサル(その女社長がお世話になっているとか言う、ヤ●ザのような男)が著者に電話をかけてきて「申請できないってどういうつもりや!?なんでダメなんや!?」と、脅迫めいた事を言ってきて、少しだけ面倒でした。ああ、録音してればよかった。
しかし、著者の偏見かもしれませんが、エステ業界とか助産師業界には多いですねー。「●●ちゃん(従業員)はワタシ(経営者)のファンなんです♡」と言ってのける勘違い経営者。そんなもん、気に入られたいためのウソに決まってるでしょう。本当のファンだったら、予告なくアナタの会社を辞めませんからね(笑) 勘違いはほどほどにしましょうね、自戒を込めて。
・支給申請ストップ事例 こちらに知らせずに、勝手に賃下げをしていた
正直言って、「ちょこっと何かやって、数十万円の助成金を受給しよう」と思っている事業主は少なくありません。「紙1枚書くだけで100万円もらえるの?」なんて、本気で聞いてきた事業主もいました。社労士に依頼してくる健全な事業主はともかく、自社申請にはこのような人が多い傾向にあります。
次は、「勝手な賃下げ」による支給申請ストップの話をします。キャリアアップ助成金(正社員化コース)を使って超アバウトに説明すると、
< OKケース >
・非正規時代の基本給が18万円
・正社員転換後の基本給が19万円(昇給)。その後も下げたりしていない
< NGケース >
・非正規時代の基本給が18万円
・正社員転換後、6カ月間だけ基本給が19万円(昇給)
・正社員転換後、7カ月目から18万円に戻していた
こんな感じです。これ、他の用件でチェックしたからたまたま気付いたわけですが、それが無かったら気づきようがないですよ。おそらく、当社と顧問契約を結んでいるわけじゃないからバレないとでも思っていたんでしょうね。マジで勘弁してください(笑)
当然、事前に「助成金の要件を満たした後に、理由なく降給させないでくださいよ」と、事業主には念押ししています。つまり、事業主は分かっていながら意図的にやったわけです。
「すみません、間違えました」とか言っていましたが、ウソだと感じたので「当社ではこれ以上関与はできません」とお伝えしました。で、当社の関与は終了。申請代行はしていません。その後、その事業主が自社で申請したかどうかは知りませんが、「不正は絶対バレますよ」と強めに言ったので、あきらめたと思います。
このケース(助成金のために一瞬だけ労働条件を良くして、その後もとに戻す)は、すごく多いようです。厚労省の資料にも、「そういう事は認めません」とはっきり書かれているくらいですから、多発しているんでしょう。
「労働者の待遇を良くしてくれるなら、会社に助成金を出しましょう」というのが助成金の大前提。助成金は企業のためではなく、まずは従業員にためにあるという事を、あらためて知ってください。
著者が申請をストップしたのはこの2つくらいです。前述しましたが、基本的に我々社労士は「ダメ元でも、支給申請してみよう」というスタンスで動きます。「ダメ元でも支給申請しない」と判断するのは、そういう事です。
結局、このあたりが、当社がスポット申請を受けたくない理由につながるわけです。彼ら(事業主)からすると、「顧問契約じゃないから、バレないだろう」と思うんでしょうね。抑止力が弱いわけです。
顧問契約をしていたら、人間関係も濃くなるのでそういう考えにも至りませんし、顧問契約を結ぼうという時点で、ある程度“ちゃんと”した考えを持っているとも言えます。そういう意味でも、著者は「顧問契約が必須」と考えるわけです。これは著者に限らず、多くの社労士の総意と捉えてもらうと、社労士と良好な関係が築けると思います。
(次回に続く)
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