以前の記事で「キャリアアップ助成金(人材育成コース)」について話しましたが、今回はその続き、キャリアアップ助成金で言うところの「訓練とは何か?」という話をさせていただきます。ボクのお客さんでも、訓練に関して分からない事が多いようですが、一番多い質問が、
「OJTとOff-JTの違いは?」
というものです。
厚生労働省が発行しているチラシにはこんなふうに書いてあります・・・・(原文そのまま)
◆OJT・・・適格な指導者の指導の下、事業主が行う業務の遂行の過程内における実務を通じた実践的な技能およびこれに関する知識の習得に係る職業訓練のことです。
◆Off-JT・・・生産ラインまたは就労の場における通常の生産活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる(事業内または事業外の)職業訓練のことです。
あー・・・こりゃ分かりにくいですねー。相変わらず役所得意のカタイ表現。こんな文章は無視して翻訳すると、
●OJT・・・・・新人が先輩に教わりながら仕事(通常業務)をすること。
●Off-JT・・通常業務とは別の場所と時間で、通常業務に役立つ知識を先輩から教わること。
こんな感じです。
ではもっと具体的に映像が浮かぶ言い方をしましょう。
・・・・イメージしてください。
・・準備はいいですか?
たとえば、訓練の内容が総務とか経理などの事務系の仕事の場合。
助成金の対象である新人社員(契約社員)が自分のデスクに座っています。
その隣のデスクには先輩社員(経理経験5年)が座っています。
先輩社員が新人に給与計算ソフトの使い方を指導し、新人は指導を受けながら計算ソフトを操作(いわゆる通常業務)していきます。これがOJT。
先輩が常に隣にいて、新人の仕事を見てあげている。時間の長い短いはあるでしょうが、どこの会社でも必ず見かける光景です。新人1人に対して先輩1人でもいいでしょうし、3人くらいならまとめて指導することも可能でしょう。(同時に4人、5人教えるとなると、助成金的にはNGになる可能性が高いです)
こんなふうに、「どこの会社でもやっている当たり前の事」と捉えると、「もしかしたらウチも助成金の対象になり得るんじゃ・・・?」と考えやすいと思います。
では、今度はOff-JTを見ていきましょう。
これまた映像が浮かぶような例を出します。
いいですか?
新人社員が業務時間内にいったんデスクを離れて、研修室に集められています。そして先輩社員がホワイトボードを使って、ソフトの使い方について説明していきます。新人はそれをノートにとり、覚えていきます。そして覚えた内容を実務に活かします。これがOff-JTです。
場所は自分のオフィス内でも、別の場所でもOK。通常業務と同じ場所(このケースなら自分のデスク)はNG。Off-JTはあくまで「通常業務と切り離した場所」で行う必要があります。なので「会議室」でもかまいませんし、「社長室」でも問題ありません。部署の一部に、パーテーションで仕切りを作るだけでもOK。
ちなみに、OJT、Off-JTを実施する時間は、所定労働時間内でも所定労働時間外(いわゆる残業時間)でもOK。(時間外労働の場合はもちろん時間外手当(残業代)が発生します)
あとは実施時間に関する細かいルールが決まっていますので、
・Off-JTが30時間以上実施できるかどうか?
・OJTとOff-JTあわせて283時間以上実施できるかどうか?
などを検討していく必要があります。
つまり、訓練時間が短すぎると助成金の対象にならないという事です。
今回はここまで。別の機会で「どんな職種のOJTやOff-JTが助成金の対象になるのか?」という話をします。
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