従業員の不正行為。「懲戒解雇」か「自己都合退職」か?

昨日も顧問先の社長から、「従業員が会社のカードを不正利用した」と電話がありました。

「新年早々、暗い話ですみません」と、少し落ち込んでいました。

● 状況の概要
・損害額は約10万円
・数日前に事実確認済み
・防犯カメラに不正利用の様子が映っている
・本人への証拠提示はこれからだが、本人も犯行を認めてはいる
・本人は、「2ヵ月後に自己都合退職」を希望

社長としては、
・本人とすぐに面談し証拠を提示する
・面談した日に退職してほしい
・ただ、本人が懇願してきたら自己都合退職にするかも

私は、社長の考え自体には賛成しました。

しかし同時に、「何も処分をせず自己都合退職だけで済ませるのは、他の社員への示しがつかなくなる可能性があります」ともお伝えしました。

●懲戒処分の記録を残す重要性
ただ、社長のお気持ちを尊重し、今回は厳格な懲戒解雇ではなく、損害額を弁済させた上で自己都合退職とする方向で進めることになりそうです。

ただし、会社としての秩序を保つために、「厳重注意書」的な書類を交付し、正式に懲戒処分を行った記録は残し、既存社員にも周知するよう助言しました。

●社内への示し方の工夫
この件を完全に伏せたままにせず、「不正行為が発覚した場合の対処方針」について、社内ルールの明確化と再周知を提案しました。もちろん、個人を特定できない形での周知です。

これにより、他の社員に「不正は許されない」というメッセージを伝えられるからです。

当たり前の事ですが、「たまに釘を刺しておく」事が重要です。

●再発防止策としてのルール整備
今回のケースは、創業以来初めての出来事だったそうです。

この機会に、以下のようなルールの整備を提案しました。
・会社カードの利用ルールの再確認と書面化
・不正利用時の懲戒処分の具体的な基準の明文化
・定期的なルールの周知

● 社長の反応
この一連のアドバイスをお伝えしたところ、「なるほど、その視点はなかった」と納得され、すっきりとしたご様子でした。

私自身もあらためて、「物事を一方向からだけでなく、複数の視点で見ることの大切さ」
を実感した出来事でした。

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