FIFAワールドカップ2026が、いよいよ6月11日に開幕します。日本代表の初戦は6月15日(月)の早朝5時。多くの社員が「有休を取りたい」「早退したい」と考えるタイミングです。
そんな中、日本経済新聞がこんな記事を掲載しました。「肥大するワールドカップと消耗する選手たち——FIFA会長の危うい統治」。試合数を増やして収益を上げようとするFIFAの姿勢に、選手・チーム・各国サッカー協会から強い批判が出ています。
この話、中小企業の経営者にとってもまったく他人事ではありません。「稼ぐために人を使い続ける」か、「人を守りながら稼ぐ仕組みを作る」か。この問いは、すべての中小企業が向き合うべきテーマです。
目次
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FIFAが批判された本当の理由
今回のW杯2026は、参加国が32カ国から48カ国に拡大され、試合数も大幅に増えました。FIFA会長が推進した「拡大路線」は、放映権収入や広告収入を最大化するための戦略です。
しかし、選手側からの反発は根強い。シーズンを通じてフルで戦い続けてきた選手が、さらにW杯の試合数増加に晒される。「稼ぐ側の論理」で動く組織が、「働く側の体力」を無視した典型的な例です。
批判の本質はここにあります。「儲かるから増やす」「回るから続ける」という判断が、現場を消耗させる。FIFAがやっていることは、実は多くの中小企業でも起きていることです。
「社員を消耗させる経営」は中小企業でも起きている
姫路でも、私が支援する中小企業の経営者から、こんな声をよく聞きます。
- 「うちの社員はみんな頑張ってくれている」
- 「残業も文句なくやってくれる」
- 「仕事が好きな人間ばかりだから大丈夫」
この感覚、危険です。
社員が「大丈夫」と言っているのは、本音を言いづらい空気があるからかもしれません。「頑張れる」と思っているのは、まだ限界が来ていないだけかもしれません。FIFAも、選手が「もうプレーできません」と声を上げるまで気づかなかった。組織のトップは、現場の限界が見えにくい構造になっています。
消耗が表面化するのは、いつも「離職届」が出た後です。引き止めようとしても、もう遅い。そのとき初めて「なぜ言ってくれなかったのか」となる。でも、言える環境を作っていなかったのは、経営者側です。
消耗が進むサイン
以下に当てはまる項目が多い会社は、社員が静かに消耗しているリスクがあります。
- 有休消化率が低く、取りにくい雰囲気がある
- 残業時間が常態化していて「当たり前」になっている
- 1on1や定期面談がない(または形式的)
- 「うちの社員は大丈夫」と根拠なく思っている
- 離職が続いているのに、採用でカバーしようとしている
「守る仕組み」を持つ会社が採用で勝つ理由
ここが今日の核心です。
「社員を守る仕組み」は、コストではありません。採用の最強の武器です。
求職者は、今や給料だけで会社を選びません。特に若い世代は、「この会社で長く働けるか」「無理をさせられないか」を、口コミ・SNS・面接の空気感で見極めようとしています。
逆に言えば、「ちゃんと休める」「残業が管理されている」「有休が取りやすい」という環境を持つ会社は、それだけで求職者に刺さります。大企業に給料では勝てなくても、「働き続けやすさ」では勝負できます。
「守る仕組み」の具体例
難しいことは必要ありません。まず以下から始めてみてください。
- 有休取得ルールの明文化:「申請しやすい雰囲気」ではなく、「申請できる仕組み」を作る
- 残業の上限設定と可視化:月○時間を超えたら上司が声をかける仕組み
- 定期面談の制度化:年2回でも、「話せる場」があるだけで社員の安心感が変わる
- 特別休暇制度の整備:慶弔だけでなく、スポーツ観戦・ボランティアなど多様な休暇を検討する
- 求人票への明記:「有休消化率○%」「残業平均○時間」を数字で見せる
「制度」はハードです。でも、それだけでは不十分。制度を作った後に「ちゃんと使えているか」「社員が本音を言える関係か」を確認するソフトの部分も重要です。定期面談や1on1は、制度(ハード)と信頼関係(ソフト)の両方を育てる場です。
W杯を契機に、今すぐ点検すべき3つのこと
W杯開幕は、絶好の「点検タイミング」です。社員が有休・早退・特別対応を求めてくる前に、経営者として先手を打ちましょう。
① 有休・特別休暇の運用ルールを確認する
就業規則に有休の申請方法は書いてありますか?「使いにくい雰囲気」があるなら、経営者からの一言メッセージ(「W杯期間中は積極的に有休を活用してください」)だけで、社員の受け取り方が変わります。
② 残業の実態を把握する
勤怠データを直近3ヶ月分、確認してみてください。特定の社員に残業が偏っていませんか?「頑張ってくれている」ではなく、「偏っている」という視点で見ると、リスクが見えやすくなります。
③ 直近の離職理由を振り返る
過去1〜2年で辞めた社員の退職理由を改めて確認してください。「一身上の都合」で終わらせていませんか?もし面談記録がなければ、今からでも定期面談を始めましょう。
よくある質問
Q. 有休を取りやすくすると、仕事が回らなくなりませんか?
A. 「有休を取ると回らない」という状態が、すでに危険です。特定の人がいないと仕事が止まる構造は、離職が起きた瞬間に崩壊します。有休消化を進めることで、業務の属人化に気づき、仕組み化のきっかけになります。「有休を取れる会社」は、業務分担の整った会社でもあります。
Q. 制度を整えても、社員が使わなければ意味がないのでは?
A. おっしゃる通りです。制度(ハード)と職場の空気(ソフト)の両方が必要です。経営者や管理職が率先して有休を取る、面談で「休めているか」を聞く——こうしたソフトの取り組みが、制度を「使われるもの」に変えます。
まとめ
FIFAの失敗から学べることは、シンプルです。
「稼ぐ側の都合」だけで動く組織は、人を消耗させ、最終的に信頼を失います。
中小企業も同じです。「頑張れるうちは大丈夫」という感覚で走り続けると、気づいたときには採用できない・定着しない会社になっています。
逆に、「社員を守る仕組み」を持つ会社は、求職者に選ばれます。大企業に給料で勝てなくても、「働き続けやすさ」で差別化できます。それが、姫路の中小企業が採用で勝つリアルな戦略です。
W杯開幕前の今が、点検の絶好のタイミング。有休ルール・残業実態・定期面談——まず1つだけ、動いてみてください。
「また辞めた」「応募が来ない」——その悩み、仕組みで解決できます。
姫路の中小企業の採用定着を、一緒に仕組み化しましょう。
